「マーケティングの神様」フィリップ・コトラーのメンターを紹介

フィリップ・コトラー

[引用] https://thinkmarketingmagazine.com/

マーケティングの神様 フィリップ・コトラー Philip Kotler

コトラーという名前、マーケティングを少しでも学んだことのある人は聞いたことがあるのではないでしょうか。

現代マーケティングの第一人者として日本でもよく知られており、書店では翻訳された数多くの著書を目にすることができます。

時代とともに移り変わるマーケティングの概念を簡単に、具体的に説明していることから、「マーケティングの神様」と言われることもあります。

実はマーケティングの「4P」の提唱者ではない!

日本ではマーケティングの『4P』の最初の提唱者をコトラー氏だと思っている人が多いのですが、実はコトラー氏本人も言っているように、提唱者はジェリー・マッカーシー氏であります。

コトラー氏はというと、顧客のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを説く理論や、マーケティングの4Pを発展させた6Pと7P理論で有名なのです。

マーケティングの本質とは

コトラー氏はマーケティングの本質について、こう言っています。

「マーケティングは生産物を処分するための技術などではなく、本物の顧客価値を生み出すための活動で、顧客の生活向上を支援する概念でもある」

更に、 「マーケティングの役割とは、たえず変化する人々のニーズを収益機会に転化することだ」と。

メンターはなんとノーベル経済学賞受賞者!しかし、メンターの意見に従うことが正しいとは限らない

コトラー氏には、有名な3人のメンターがいました。サミュエルソン氏、ソロー氏、フリードマン氏といった3人のノーベル経済学賞受賞者です。

ポール・サミュエルソン氏

p256-2

[引用] jp.wsj.com

その中でもとりわけ関係の深い人が、MITのポール・サミュエルソン氏です。

サミュエルソン氏は、「近代経済学の父」と呼ばれ、経済学を学んだ人にはよく知られている存在ですが、そのサミュエルソン氏が「教科書」を書いたことで、経済学界や大学というところに大きな影響力を持ちました。

それを目の当たりにしたコトラー氏も最初から教科書を書くことによって、今まで実務的な専門家が断片的に言っていたことを一つの体系に整理したのです。

面白いエピソードとして、コトラー氏の博士課程の面接が有名ですが、面接官となったサミュエルソン氏は、コトラー氏に次のような質問を投げかけました。

「マルクスの労働価値説についてどう思うか?」

 これに対して、コトラー氏はこう返答しました。

「価値は消費体験の中で認識される」と。

 労働価値説とは、モノの価値の本質は、それを生産するために投入された労働に起因するという考え方です。

サミュエルソン氏は、モノの価値がどのように生まれるのかをテーマに質問したのに対し、コトラー氏はモノの価値がいかに認識されるかについて答えたのでした。

これは、一見、禅問答のように聞こえますが、価値が生まれる過程だけを見ていては不十分で、価値が認識される過程をも視野に入れることで、はじめて全体像を捉えることができるという考えをコトラー氏が端的に見事に返答したエピソードです。

このモノの見方は、実はサミュエルソン氏自身が近代経済学を確立した考え方と一致しています。 しかし、同時に、サミュエルソン氏の数学的手法の限界を指摘する回答であり、これがその後、コトラー氏のマーケティング理論の基本的な視点となっていくのです。

コトラー氏がマーケティングの道を選んだ理由とは?

 コトラー氏は、その後、ノースウェスタン大学経営大学院から呼ばれ、経済学かマーケティングのいずれかを教えて欲しいと言われました。 この時、コトラー氏を誘ったドナルド・ジェイコブス氏は、「君が正式にマーケティングを学んだことがないのは承知の上だ。専門が違うからこそ、新たな視点を持ち込めるのではないか」と語り、コトラー氏もそれに賛同したと言います。

「経済学はすでに発展した分野だ。独自の理論を生み出せる可能性はマーケティングの方が高いだろう」

そう考えたコトラー氏は、マーケティングの道を歩む決断をしたのです。
その結果、ご存知のようにコトラー氏はマーケティング理論の発展をリードしていく存在になっていったのです。

またも、ノーベル経済学賞受賞者と対立?だからこそ大切なメンター!

ミルトン・フリードマン氏

ミルトン・フリードマン

[引用] thelibertarianrepublic.com

コトラー氏の3人のメンターのひとり、ミルトン・フリードマン氏も紹介いたします。

フリードマン氏も経済学者で、マネタリズムを主唱し、ノーベル経済学賞を受賞しています。
コトラー氏はこのフリードマン氏からも多大な影響を受けていますが、「CSR」という概念では、真っ向から対立していました。

CSRとは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)で、企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的に社会に貢献する責任のことです。

CSRについてコトラー氏は、こう言っています。

『「マーケティングに携わる人間は自らの活動が世界の資源など社会に及ぼす影響についてもっと責任感を持つべきだ」と強く思った。こうした考えを深く発展させるために企業が社会に対してどのような活動をすべきか、企業の社会的責任(CSR)の研究に取りかかることにした。

企業は道路、港湾設備などをはじめとするインフラを利用して収益を上げ、社会から多大な恩恵を受けている。その見返りとして企業はなんらかの形で社会に奉仕すべきだと思っていたからだ。』

ところが、コトラー氏の恩師であるフリードマン氏は、「ルールの範囲内で自らの資源を活用し、利益拡大のための活動に従事することに尽きる。CSRに積極的な企業は、寄付行為をせずに研究開発など競争力強化に投資する企業に太刀打ちできなくなる」と主張していたのです。

つまり、フリードマン氏はCSRに否定的で、かかる費用を単なるコストだとみなしていました。

今でこそ、CSRの大切さは一般的な概念となっていますが、当時はフリードマン氏のような考え方が一般的であったようです。

それでも、たえず社会の変化を敏感に感じなければならない「マーケティング」という分野を開拓して来たコトラー氏だからこそ、絶えず、現実を追求し、メンターと意見が異なったとしても、それを検証することで、新たしい概念を生み出すことが出来たのではないでしょうか。

出典

https://thinkmarketingmagazine.com/
http://jp.wsj.com/
http://thelibertarianrepublic.com/

フィリップ・コトラー